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logとか突発的に書いたものを掲載しています。

お仕事募集中

* * *

小説のお仕事を募集しています。

同人・商業問いませんので、詳細案件を記載の上、

info★blindalice.netまで宜しくお願い致します。

※同人の御依頼のみ無償でご協力させて頂きます。

 

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スケジュール

翌年3月までは同人の個人活動と、アンソロジーのお手伝いで繁忙しています。

4月~5月中旬以降は完全に空きがありますので宜しくお願い致します。

2014/09    △(原稿中)

2014/10 スパーク9

2014/11    △(原稿中)

2014/12 冬コミ(当落待ち)

2015/01 シティ東京135

2015/02 暗殺オンリー(※予定)

2015/03 春コミックシティ20

2015/05 スパコミ

 

はじめに

好きなジャンル/CP

食戟のソーマ

  • タクイサ
  • アキ潤
  • リョアリ

ハトアリシリーズ

  • ボリアリ
  • 双アリ
  • ダンアリ
  • ピアアリ

ミカグラ学園組曲

  • 遊アス
  • 京アス
  • トンうさ

ボーカロイド

  • レンハク
  • デルハク
  • レンカイ
  • がくカイ

 

 

暗殺教室

  • カル渚
  • 渚中心
  • 寺律
  • 糸寺

青の祓魔師

  • 燐雪
  • アマメフィ

Mr.FULLSWING

  • 兎丸×子津
  • 御柳×子津
  • 猿野×子津
  • 犬飼×子津
  • 黒豹×子津
  • 牛尾×子津

ゴクドーくん漫遊記

  • ニアゴク
  • セイゴク

戦勇。

  • ロスアル
  • アルバ総受

シャーマンキング

  • 麻倉一族×まん太
  • 道蓮×まん太
  • ホロホロ×まん太

マギ

  • アリババ×アラジン
  • ジュダル×白龍

艦隊これくしょん

  • マクレベ(※断固ショタ主義)

 

地雷系

食戟のソーマ
タクミ受全般・アキ緋沙
ハトアリシリーズ
BL全般
ミカグラ学園組曲
赤間・九頭竜関連アスヒ受以外のBL,NL全般

青の祓魔師雪燐・燐しえ

Mr.FULLSWING

司馬×兎丸×司馬・芭子以外の御柳関連BL,NL

シャーマンキング
まん太受以外のBL,NL
マギ

アリババ受全般・アラジン攻
艦隊これくしょんマクレベGL,NL

 

 

 

debolezze

「なぁなぁ。アルディーニ」
「ん?」


クラスメイトに呼ばれた僕(イサミの方ね)は、彼に手招きされて身を屈めるよう指示される。
その指示の理由が分からなくてキョトンと固まったままでいると、お前の兄貴に見付かりたくないんだよと言われて納得がいった。


兄ちゃんはやはりと言うべきかかなりの妬き餅焼き屋だ。そう、かなりの。
僕が同級生と話しているのを見ただけで逆上して乱闘騒ぎにまで発展した過去を思い出して溜息が出そうだ。

兄ちゃんは喧嘩なんてしなさそうな美丈夫に見えがちだけれど実際腕力が強い。
料理にしたってあの巨包丁を難なく使いこなしていられるのであるから当然と言われればそれまでだが。
僕の方が兄ちゃんより一回り身長も高いし体格も良かった時などは兄ちゃんの意外な腕力の強さには七不思議のような捉え方をしていた。
けれど今となってはそれも当たり前になってきている。


「それで、此処まで用心して僕に何かあるの?」


暗に揶揄も含んで発した言葉だ。きっと特別な要件なんだろうと妥当が行く。
クラスメイトは笑いながら教壇の中で隠れる僕に(彼もだが)一言、「可愛いな、お前」とだけ言った。
ぞわりと寒気が走り慄く。


「あ!誤解すんなよ!?今のは弟がいたらこんな感じなんだろうな、って意味で…あ―――――離れるなって!!!!」


他のクラスメイトが見たら若い男子二人が教壇の中で戯れる図は如何にも滑稽だろう。僕は早くこの状況を脱したくて彼の本当の要件を聞き出した。すると。


「お前の兄貴の弱点って何?」


と意外にも(?)健全な悪戯っ気を含む内容に胸を撫で下ろした。


「弱点って、言われても……」


僕は兄ちゃんが何より大切な人で特別だから兄ちゃんに危害を加えようとする奴なら許さない。そんな心情が顔に出ていたのかクラスメイトは否定した。


「俺の彼女がさー、お前の兄貴のファンクラブに入っちまったんだよ。あいつを取り戻したくてだな…」
「つまり、兄ちゃんの魅力の上を行きたいの?」

そんなの。

「無理だと思うけどな」

兄ちゃんは完璧な料理人だ。幸平君に負けたとは言え、苦手な料理なんてないし何でも卒なく熟す。そんな兄ちゃんの上を行く事なんて僕には考えられなかった。
それに悪いとは思ったが、目前の凡庸なクラスメイトにそんな器量はない気がする。欲目かも知れないけど。


「頼むよ!其処を何とか!!!!料理以外だって良いんだ!つか俺にはあいつ程の料理の才能なんてないしさ!」
「………」


さて。どうしたものやら。兄ちゃんの苦手なもの、嫌いなものと言われれば思い付くのが。


「幸平君とか美作君とかかな」


幸平君は兄ちゃんが彼に敗北して以来、ライバル視しているし美作君は生理的に受け付けない(僕もだけど)ストーカーだ。


「あのな……例えば苦手科目とか分野とか」
「?ないよ?」
「は!?」
「だから、勉強。僕より兄ちゃんの方が出来るんだ。当たり前でしょう?」
「じゃ、他に隙入るものって―――――」
「そんなものはないな」
「「!?」」


ドキリとする。クラスメイトも話題に昇っていた相手の思わぬ声に反射的に震えた。恐る恐る顔を上げると其処には。


「よう。お楽しみのところ、悪いね?用事が済んだなら俺のもの、返してくれるよな?」


眉間に皺を寄せて仁王立ち―そんな野蛮な姿勢も様になっている―タクミ=アルディーニ。

僕の兄ちゃん。その人が全く笑ってない青い瞳でクラスメイトに挑発していた。
彼も渋々、と言うより危険を察知して、僕を解放してくれた。グイッと思い切りの力で僕の腕が引っ張られて教壇の下から真ん前の兄ちゃんの側に引き寄せられる。


「……こんな事に俺達を振り回されるのは迷惑だから言っとくが」


其処まで切って、兄ちゃんは思わぬ事を口走る。


「俺の弱点は過去も現在も未来も変わらず、恋人である弟だけだから」
「………へ?」
「ちょっ、兄ちゃん!??」


かあっと顔が火照る気がしたのは錯覚ではない筈だ。
クラスメイトの間抜けな返答も曖昧にして僕を引っ張り続け教室を出て行こうとする兄ちゃん。まずい。非常にまずい。


「っ、…ごめん、またね!」


後の噂が怖くなり、僕は後ろを一瞬向いてクラスメイトに謝った。
ピシャン!と扉を閉める音がやけに鋭く聞こえた。

兄ちゃんは無言で僕を引っ張り先導して何処かへ行こうとしている。途中、訳あり顔で僕らを見る顔見知りの人達にも会ったけれど僕達二人は無言のまま。


着いたのは、寮室内の僕達専用の個室。
そのドアを乱暴に兄ちゃんは開けると、僕をベッドに押し遣った。ドサリと言う音とベッドが軋む擬音が聞こえた。
兄ちゃんは怒声を孕んだ声調で僕を呼ぶ。


「……イサミ。何で俺が怒っているか解るか?」
「―――――うん……」


僕だって兄ちゃんが他の人と教壇の下みたいな密室での会話なんてしていたらきっとどうかしているだろう。


「そうか。なら、良い」


ザリッ、と音がして首の後ろに痛みが走る。爪で引っかかれたのだと漸く理解して、ハッとした。


「兄ちゃん!手……!!!!」
「?」


其処には兄ちゃんの指の腹から僕の血がした垂れていた。
料理人にとって手は命だ。乱闘しても綺麗な儘で居て欲しかった兄ちゃんの手が………。


「そんな顔をするな。弟よ」


ペロリと、兄ちゃんは僕の血を舐め取る。ドクリと心臓が鳴った。


(なに…っ?何で?何でっ――――――――――!?)


「それはな」


兄ちゃんが無言のまま動揺する僕の心を読んで嗤う。


「お前の弱点も俺だからだよ」




意外な兄ちゃんの暴挙は、もうこれ以上は僕の口からは言えない。



end.




(弱点)>>google翻訳より

dolcetto o scherzetto

「兄ちゃん!トリックorトリート!」
「……は?」


幸平と喧嘩をしていると、田所恵と俺の恋人兼双子の弟が何やら時期外れな格好をして両手を差し出して来た。
田所恵は幸平が好きだから、と言う理由が着いて回るので(おまけに女子だ。ノリやすいんだろう)理由は分かり易いが。
何故かイサミまでニコニコと俺にとって破壊的な威力を持つ笑顔で「早く早く」と急かす。
幸平はポケットに偶然入っていた飴玉を田所恵に手渡すと何とも学生時代宜しく、甘酸っぱい青春期の恋愛模様が拡がっていた。
こうなれば、俺と奴との歪み合いの理由も自然消滅するしかあるまい。
何やら急に脱力してきて眩暈がする。
大体、今は夏だ。
ハロウィンなんてイタリアにいた頃は幼少時代しかした経験がない。ましてやその記憶すら薄れている。イサミは違うのだろうか?


「兄ちゃん?」


だんまりになった俺を心配したのかイサミが離れた背丈から見降ろす。
何故か弟に身長を抜かれてしまうのはやはり寂しい。それどころか恋人でもあるのに。


「…はぁ」
「お?どしたよ、タクミ。愛しの弟が魅惑的な事を言ってくれてんのに」


煩い幸平。心を読むな心を。例え超弩級の顔に直ぐ出やすいタイプの代表格が自分だとしてもだ。


「……兄ちゃん、この衣装似合ってなかった?なんか、変?」


いやいやいや。今は夏だからこそローブなんて着る奴が居るものか。

だけれど、と視線をイサミに向ける。
短い丈の黒のローブにご丁寧にスカーフまで。
夏場だけあり、着ている本人達も暑いのだろう。田所はローブの下は白ニーソの生足を披露していた。

イサミはと言えば黒ニーソが俺好みでもあったが普通にローブの下はハーフパンツ着用だ。ゴクリと固唾を飲む。
弟のこんな恰好を見ていて欲情しない兄がいるものか。

不図、気付く。
もしかするとハリー◯ッターのコスプレ?かと。ハロウィンに魔法使いと言う井出達はまさにそれが似合いそうだ。
田所は黄色を基調にしたスカーフ―流石にマフラーは暑くて身に着けられないだろう―をしている。対するイサミは緑が基調だ。



(ふむ。イサミはスリ〇リン、か・・・・。)


「創真君。タクミ君。これね、ハリー◯ッターのコスチュームプレイなの!」


いやいやいや。夏に着るべきものじゃないだろう。イサミは可愛いが。


「こんな暑い日が立て続けに来ると季節外れな事をしたくなるよね~」


イサミは先ほどからニコニコと俺を見て微笑んでいる。―――――感想を言えと?



「兄ちゃんも着てみる?」


ガッデム。

超弩級の天然のKY弟はどんどん道が擦れている。このままでは話が逸れかねない。
不思議な顔をした幸平と田所を置き去りに、グイッとイサミの腕を掴んで足速に教室を出た。




* * *

カツカツカツカツカツカツ。
テクテクテクテクテクテク。

俺が先導だってイサミを引っ張りながら勇み良く勢い良く進む足音と。
そんな傍若無人な兄―と思っているだろうが止めはしない―の進路に無言で着いて来るイサミの足音。

無人の空き教室を見付けると俺はイサミに入るよう促す。
きっと怒られるのだろうと思い、決心した顔持ちで後に続く彼をピシャリと扉を閉めて鍵を掛けたと同時に後ろからかき抱いた。


「……!っ?」


イサミは予想外だったのか驚いた顔をしている。


「こんな。誘うような格好をして俺が平静でいられるとでも?」



ゾクリと弟が戦慄くのがわかった。それを判別し易い程に今の俺たちは密着し過ぎている。
重なり合った身体同士が熱い。


「そ、んなつもりじゃ……」
「知ってる」


クスリと嘲笑を零すとイサミは溜息を吐いて観念したように自身に回った俺の手を握り返してくれる。



「ごめんね。兄ちゃん。唯、」
「唯?」
「ちょっと悪戯したかったみたい」
「みたいってなんだよ」


それではイサミは最初から俺が菓子を常備していないのを承知で如何にもなコスプレをして甘えてきた事になる。



「あ、兄ちゃんってば!駄目って…!」



唐突にローブの中に滑り込んだ手がイサミの衣服越しから肢体の形を確かめるように上から下へ滑る。
気付いた時には俺の利き手は、やんわりとふくよかでいて無駄のない細い弟の脚に纏わりついていた。


「ね。兄ちゃ、んっ…悪戯、して良い?」
「駄目だ。俺の台詞取るなよ…」
「えぇ―――――何で!?兄ちゃんはいつも僕に意地悪する癖に!」
「それとこれとは話が別だろ。俺のアイデンティティを奪うな」
「むぅ」


どうやらイサミは完全に拗ねてしまった。


「―――――お菓子が欲しいんだろ」


戸惑わずにイサミの唇に自身の舌を絡め合わせる。


「ん…。これがお菓子?」


どさり、と。二人で床に縺れ込む。


「ふっ、まさか」
「あ―――――…だろうね………」


兄の暴挙が何を指すのか察した弟は実は誰よりも聡い。
そんなイサミを俺は。


「トリックandトリート―――――………。魔法使いさん?」


狂おしい程に抱きたかった。
暑さの所為にして隔離した部屋で身体を重ね合わせるのも、また一興であろう。



end.




(トリック オア トリート)>>google翻訳より

coeterno

「イサミ」


双子の弟の名前を呼ぶ。愛しい愛しい俺の片割れは俺の呼びかけになど応えず読書中だった。
最初はイタリアンレシピの蔵書か学習参考書か?とも思ったが、イサミの表情で直ぐにそれは違うと解る。
双子とは便利なもので、意思疎通が顕になくとも表情や声で解るのだ。俺も思わずイサミの読んでる本に視線が行く。
小説のようで何やら可愛らしい少女の挿絵何かが入っているが………。

「おい。イサミ?」
「………………」


凄い集中力だ。実際、料理に於いても集中力が切れない方がイサミだったりする。周りからは意外や意外と評されることも少なくはないが事実だ。
けれど何かこれは凄く―――――ムカつく。兄の呼びかけにも気付きもせずにパラパラと本当に読んでいるのか疑わしいがページを捲る手は止まない。
俺はおもむろにイサミの読んでる本を取り上げた。


「…っわ!?に、兄ちゃん!??」
「随分楽しそうに読んでたな?俺の声も聞こえないくらいにそんなにこれが面白かったか?」


後半はもしかしなくとも皮肉たっぷり入れて置く。


「う…ごめん………」


何故か落ち着きない弟は、早く本を返してよとせがむが、これでは俺の自尊心が許せない。


「駄目だね。キスしてくれなかったら赦さない」
「へ!?キ、キス!???」


何を今更。子供の頃からお互いをあやすようにもどかしいフレンチキスをしてきた仲なのに。
そう言えばイサミは、観念したかのようで、頬に暖かい唇の感触が降りてきた。
瞬間、イサミの腕を自身に引き寄せて至近距離にお互いが近付く。


「っ、に…」
「お前は…ったく。キスだったらコレだろ」


そうして戸惑うことなくイサミに口付けた。啄ばむように唇を舐めたり食めば、抵抗力に弱いイサミからおずおずと口腔への侵入を可能にしてくれる。
クス、と嘲笑が漏れたのも束の間、まさか据膳を逃す俺でもないので、舌を弟のものと絡め合っては離れを繰り返した。
数分程に経つとイサミは耐え切れないと でも言うように腰が砕けたようだった。
慌ててすかさず恋人の腰を支える。


「へへ。ありがとう、兄ちゃん」
「可愛い弟の為だからな。他の奴らなんて真っ平だ」


ところで、と。閑話休題として先にイサミが読んでいた小説を手に取る。


「あ!それ返してよ!!」


腕の中でイサミが暴れるが構うものか。
文字の羅列を凝視すると、どうやらライトノベル――――と言うより少女を対象にした感じの如何にもな寒々しい恋愛小説だった。


「………」


イサミは羞恥からか顔を下に向けて俯いたままだ。
弟にこんな趣味などない事は双子の兄の俺が良く知っている。こんな悪戯心を寄越すのは、遠月学園寮生徒しかいない。


「誰に借りた?」
「あ、あの………」
「怒らないから答えるんだ。イサミ」

少し 嘘を吐く。怒らないと言ったのは本心からではなかった。
弟、俺の大事な半身のイサミの心を占領するのがもし別の男であったら…、そう思うと馬鹿みたいに嫉妬でぐちゃぐちゃになる。

俺の形だけの言葉に安堵したのかイサミはぽつりと。
「田所さん」と答えた。
意外な相手に俺は目をぱちくりとさせて、ぽかんとしてしまう。


「は?あの子が何で?」
「彼女、僕の数少ない相談相手なんだ。その―――――恋愛の」


イサミの恋人は現在進行形で俺しかいない。では田所恵に俺の話を?


「ご、ごめんなさい。兄ちゃん…僕、こんなだし大体男だし。不安に思っている事を田所さんに相談したら愛読している本にヒントがあるかも、って…………怒ってる?」
「少しな」
「ええ!だってさっきは、「イサミ」


彼の言葉を遮り代わりに俺が言葉を紡ぐ。


「不安に思っている事なら真っ先に俺に言えば良い。他の誰かじゃなく、俺に」


俺では頼りないか?とも呟けば、案の定イサミは首を横にブンブン振って否定した。
そう。いつだって言えば良い。





こんな在り来たりな小説家の書いた小説なんかより、俺自身から答えなんて予め用意されているのだから。



end.




(永遠に共存する)>>title by QuoVadis

Vedi come sono pazzo di te?

「ね、ねぇ、兄ちゃん…?」



恐る恐ると言った感じでイサミは意を決して兄であるタクミに問い掛けた。
容姿端麗、稼業のイタリアンレストラ ンを統べる程に料理の才能にも富んだ彼は寝呆けているのか切れ長の青い瞳を虚ろにして弟のイサミの髪を弄ぶ。
時々わざとだろうが耳に息を吹き掛けたり耳元 で囁いたり、な事をこの遠月学園寮の二人っきりの個室でしているのだから不健全極まりない。とイサミは思う。
肩や身体がゾクゾクして何とも言いようのない気持ち良さが自分を懐柔しているのは唯一無二の血肉を分けた双子の兄であり、男だ。
綺麗な顔立ちをしているのだから女性からも熱い視線を贈られファンクラブまで在籍しているものだから吃驚だ。
同じ両親から生まれたのにも関わらずいつからこうも兄と離れてしまったのか。
寂しくもあり、此処―遠月学園―で兄であるタクミには夢を叶えて貰いたかった。



「何……してくれてるの?」
「ん―――――スキンシップ?ハグだよハグ」



額から始まって瞼、目尻、頬、首筋など余程兄弟のスキンシップとはほど遠い。そして。



「あ、っ…?」



次第にタクミ曰く兄弟のスキンシップ―度を超えているようにおもったけど―。



「なに?どうした?」



くつくつ笑う意地悪な実兄。



「どうして欲しい?」
「そんなこと望むなら出て行ってよ。僕も忙しいんだから。それにそーゆー事をしたいなら弟じゃなく綺麗なお姉さんとか煌びやかなお店へ行けば会えるよ」
「は?さっきのは……お前が可愛かったから…つい触りたくなってだな」
「兄ちゃんも女性は苦手な方なんだね」



そうニヤッと兄に話して見るとそれ以上の兄の超弩級のドエスな笑みが帰ってきた。



「興味ないね。そんなの。あんな黄色い声で喚く生き物好きになれっての?お前は」
「苦手意識克服しなよ。せっかく…顔が良いんだからさ。勿体ないよ」
「ふぅん…そんな可愛くない事を言う口は」



カタリ、と兄は座っていた椅子から立ち上がり僕の座っている席まで身を乗り出して来て…。
嫌な予感がすると思って反射的に身を引こうとするけれど兄ちゃんの片手が僕の腰を支えてるので自由に抵抗が出来ない。



「兄ちゃん…?」
「イサミ……」



嗚呼もう。こんな時だって兄ちゃんは綺麗な美丈夫だから。
妬けてくるよね。
そう思った時には時既に遅し。兄にキスをされてしまった。
最初は親しい者が敬愛や感謝の意を込めてするような優しいキス。
だけど次第にまるで訳が分からないような理不尽なキスの雨が降ってきた。



「んっ……」



僕は恋愛も女性とのそういう色ごとの経験なんてない。だがこれだけは解った。兄ちゃんは恋人にするキスを僕にしているのだ。
兄ちゃんの熱い舌が僕の唇を舐めて口腔への侵入を促す。狡い。拒む理由なんてないのを解った上でこんな………。
卑猥な水音が寮室内に響いた。僕はと言えば酸欠状態になっていた。
兄も僕が苦しがっているのが伝わったのか、数分で解放してくれた。



「っ、げほっ!げほっ!」



与えられた酸素を思い切り吸おうと夢中になっていると当の原因の兄ちゃんは澄ました顔で『色気ないな』なんて呟いている。
あってたまるか。
此処が寮室内で良かった。教室や学園内で兄ちゃんの悪戯が行われない事を祈ろう。





そんな視界のまったく見えていない僕たちの関係がこれからどうなるかなんて今はまだわからなかった。



end.




(俺がどんなに君に夢中か分かる?)>>title by 縁繋